コインの10

盤瓠

中国、ヤオ族

昔々、中国の皇后が酷く耳を患っていました。

医師が診察すると、彼女の耳から小さな金の虫が出てきました。

皇后は、その虫を殺すことはせず、タライに入れて食べ物と水を与えました。 するとそれはやがて小さな犬になったのです。

彼女はその犬を盤瓠（ばんこ）と名付け、それは皇帝のお気に入りになりました。 

ちょうどその頃、皇帝は敵国との対立に悩んでおりました。

そこで、皇帝は、敵国の将軍の首を取ってきた者に褒美として王女との結婚を約束するとおふれを出しました。

しかし、誰もその首を討ち取る事が出来ませんでした。

そこで、盤瓠は意を決して敵国に忍び込むと、隙を見つけて将軍の首を切り落とし、皇帝の元へ戻って来ました。

皇帝は彼の名誉を讃え、祝賀会を開きました。

そこで皇帝は盤瓠が王女との結婚を望んでいることに気が付きました。

皇帝が『人間の王女は犬と結婚することはできない』と説明すると、盤瓠は『秘策がある』と答えました。

彼は皇帝に、

『私を大きな金色の鐘の下に入れて、7日間誰にも見られないようにしてください。そうすれば人間の姿になれます』と言いました。

皇帝はこれを承諾し、盤瓠が金色の鐘の下に入ってから無事に6日が経過しました。

しかし、7日目のことです。

盤瓠がお腹を空かせているに違いないと思った王女が、食べ物と飲み物を持ってやって来て、金色の鐘をほんの少し持ち上げてしまいました。

術は破られてしまったのです。

盤瓠は、身体は人間の男になっていましたが、頭だけは犬の姿のままでした。

しかし、皇帝は敬意を持って彼を迎え入れました。

★ 盤瓠は王女と結婚し、たくさんの子供が産まれ、さらに多くの子孫にも恵まれたということです。

（ここがカードの場面になっています）